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不動産売却の現状渡しとは?メリットとデメリットも解説!

不動産売却の現状渡しとは?メリットとデメリットも解説!

不動産の売却を検討しているなかで、現状渡しという言葉を耳にしたことはないでしょうか。
手をかけないことで出費を抑えられますが、しっかりと理解していないと、後々大変な状況になってしまう場合もあります。
そこで、そんな現状渡しのメリットとデメリットを解説いたしますので、ぜひ参考にご活用ください。

不動産を売却するときの現状渡しとは

不動産を売却するときの現状渡しとは

現状渡しとは、建物の修復や解体、埋蔵物の確認などをおこなわず、そのままの状態で引き渡すことを指します。
物件の状況や築年数、売主の意向によって、さまざまな事情で現状渡しを選択している方がいます。
契約書には「現状有姿」「現況渡し」など、不動産会社によって呼び名はさまざまです。

契約不適合責任とは

2020年の民法改正で新しく施行され、それまでの瑕疵担保責任から契約不適合責任に概念が置き換わりました。
ちなみに、瑕疵とは傷や不具合をいいます。
引き渡す物件の状態が契約の内容に合致しない場合には、引き渡し後であっても売主に請求して、契約内容に適合させるために修繕やリフォームをします。
修繕などができない場合は、代金の減額請求、損害賠償請求、契約解除となる場合があるかもしれません。
改正前に比べて、売主の負う責任がより重くなり、買主の保護が明確になりました。
しかし、任意規定ではあるので、特約の設定をして売買契約書に記載します。
買主が瑕疵を見つけたら、引き渡しから3か月以内であれば売主が責任を負うといった内容が一般的です。

告知義務がある

契約不適合責任は任意であるため、契約は結ばなくてもいいですが、売主が契約不適合責任を負わなくても良いといったわけではありません。
告知義務がありますので、小さい不具合でも前もってわかっている問題は正しく報告する義務があります。
売買契約書とは別に「現状確認書」「付帯設備表」に詳しく記載します。
さらに、過去に修繕・補修したところも告知しなければいけません。
もし、売却後に発覚したら、減額や損害賠償の請求、最悪の場合契約解除されてしまいます。
そうならないためにも、売買契約書の方に契約不適合責任の条項を入れてもらうようにしましょう。

インスペクション(既存住宅状況調査)をする

自分達の目で見てわかる範囲だけではなく、見ただけではわからない隠れた部分の問題点やシロアリの発生の有無なども対象になってしまいます。
それらが後々発覚してトラブルに発展する前に、第三者の専門機関に検査をお願いするのがおすすめです。
規定の講習を受けた建築士が建物の状態をチェックし検査結果を告知してくれます。
中古住宅の場合は売主の同意があれば、買主側の希望でインスペクションを実施するのも可能です。
売主側は引き渡し後のトラブル発生のリスク軽減、不具合があったらどうしようなどの不安の解消にもなります。
買主側は建物の目に見えないところの状態を把握でき、適切価格で購入できる可能性が高いです。

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不動産の売却で現状渡しする場合のお互いのメリット

不動産の売却で現状渡しする場合のお互いのメリット

不動産の売却にあたり、現状渡しにする場合の売主と買主のメリットをお伝えします。
修繕やリフォームをしないため費用がかからず、早く売り出せるのであまり時間をかけたくない方におすすめです。

修繕やリフォームのコストがかからない

売主は修繕やリフォームをしなくて良いので、そういった費用がかからず売却できます。
買主は見たままを購入でき、好きなようにリフォームできます。
最近ではあえて古い物件を購入し、自分好みにDIYしたりリノベーションしたりする方もいるでしょう。
安くで手に入り、好きなように手を加えられるのも魅力の一つです。
現状渡しに向いている物件は、築年数が浅い10年以内の物件で、痛みが少ないので現状渡しに適しています。
あとは、逆に古すぎて直さなくていけないところが多い物件で、直してから売りに出そうとすると、お金や時間ががかかりすぎてしまうので、現状渡しがおすすめです。

早期売却できる

現状渡しでは、修繕や補修をしなくて良いので早く売りに出せます。
もし、修理を依頼するとなると、まずは業者を探して、見積もりを取りどこの業者か決めて、スケジュール調整をし工事に入るといった流れです。
引っ越しシーズンなどの忙しい時期だったりすると、なかなか予定が合わず工事が遅れる場合もあります。
売却を急いでいるといった事情がある方や、見たまんまを早く手に入れたいと思っている買主にも現状渡し物件はおすすめです。

不動産会社が買取した際の契約不適合責任

売却方法には2種類あります。
売主が仲介業者を挟んで買主を探す方法と、不動産会社に物件を買い取ってもらう方法があります。
不動産会社に買取ってもらう場合には、相場よりも安くなってしまいますが、契約不適合責任を結ばないパターンが多いです。
個人とのやり取りでないため、契約不適合責任を負う必要がない契約条件になるのがほとんどです。
しかし、知っている瑕疵はちゃんと伝えなければ、後々トラブルになりますので注意してください。
不動産会社に買い取ってもらうのに適しているのは、築30年以上で建物が古く、状態も悪い物件を売りたい場合に利用してみると良いでしょう。

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不動産の売却で現状渡しする場合のお互いのデメリット

不動産の売却で現状渡しする場合のお互いのデメリット

不動産の売却で現状渡しをする場合の売主と買主のデメリットを紹介していきます。
売主にとっては、契約不適合責任や売却価格が安くなってしまうなどがデメリットです。

契約不適合責任

契約不適合責任で、後から瑕疵が発覚することを防ぐために、細かく書面に残す必要があり、その作業が大変になってきます。
過去に修繕したところも記載しないといけないので、しっかり覚えておき、領収証などが残っていると参考になります。
インスペクションをしておけば、細かくチェックしてもらえるのでさらに安心です。
また、買主と一緒にチェックするのもおすすめです。

売却価格が相場より低くなる

売却価格を相場より下げないと売れない場合があります。
問題を抱えている、使用感や経年劣化など中古物件には何かしら欠点があります。
中古物件を販売する場合には、その地域や建物の相場に合わせた金額で売り出すのがほとんどです。
周辺に似たような物件があって、欠点の少ないきれいな物件があれば、そちらを購入したいと考える方も少なくないでしょう。
何も手を加えないのは、あまり綺麗な状態でないことが多いため、値引きを要求される場合があります。
しかし、相場より安くなりやすいというデメリットがありますが、安くすることで多くの買主から注目され、短期間で売却できるケースもあります。
その場合には、儲けなどは考えず、損をしなければ良い、新居の費用の足しになれば良いくらいの気持ちでいると良いでしょう。

残置物は撤去する

現状渡しは「今ある状態で引き渡す」となっていますが、家の中や外の家具、家電、ゴミなどは片づけるのが基本です。
もし、そのまま置いていきたいのであれば、買主と話し合い別途契約書を交わし、その旨を書面化する必要があります。
契約前に内容を確認し、契約書の特約に必ず記載します。
トラブルの元になるので、勝手に置いておくようなことはしないようにしましょう。

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まとめ

不動産売却の現状渡しとは、修繕やリフォームをせず現状のまま引き渡します。
しかし、瑕疵があるところは小さなものでも告知する義務があります。
後からトラブルにならないためにも、しっかりと書面に残し契約前に買主に確認してもらうのが大切です。