不動産売却時には土地を分筆すると良い?メリットやデメリットを解説!
土地を売却するにあたり、分筆を検討される方もいらっしゃるでしょう。
分筆をすると土地を活用しやすくなる一方で、デメリットもあるため慎重に検討する必要があります。
今回は、不動産売却時に土地を分筆するメリットとデメリット、分筆をする際の流れについて解説します。
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不動産売却における「分筆」とは?分割との違いは?
土地や建物を所有していると毎年固定資産税がかかり、都市計画区域内に立地する場合は都市計画税も課されます。
誰も利用していない場合は定期的に管理もしなければならず、土地が広ければ広いほど手間やお金がかかります。
広い土地を持て余している場合、「土地の一部だけ売却できないだろうか」と考える方も多いでしょう。
分筆(ぶんぴつ)という手続きをおこなえば、土地を全て売却せずに、一部分だけ手放すことができます。
まずは、分筆の仕組みや分割との違いについて確認していきましょう。
分筆とは?
土地を取得した際には登記をおこない、登記簿と呼ばれる帳簿に不動産や所有者の情報を記録します。
その登記簿に記録された1つの土地を分割し、改めて登記し直すのが「分筆」です。
たとえば「A町1番」の土地を3つに分筆すると、「A町1番1」「A町1番2」「A町1番3」となり、別々の土地として扱われます。
土地は「筆(ふで)」で数え、1筆、2筆、3筆と表現するため、「土地を分ける=分筆」と呼ばれています。
分筆と分割の違い
分筆と分割はいずれも1つの土地を複数に分けることを意味しますが、登記簿上で土地が分かれるかどうかが異なります。
分割とは、登記簿上は同じ土地のまま、それぞれの土地が建築基準法の基準を満たして建物を建築できるように敷地を分けることです。
どのようなケースで分割を選択するのかというと、1つの敷地内に複数の建物を建てたい場合です。
建物は1筆の土地に1軒しかたてられませんが、分割すると見た目は1つの土地に2つの建物が建てられるようになります。
たとえば、実家が建っている土地の敷地内に、子どもが家を建てる際などに分割が用いられるケースが多いです。
分割であれば登記が不要なので、既存の地番をそのまま使用することができ、手続きの手間や費用もかかりません。
ただし、分割では登記上1つの土地として扱うため、土地の一部だけを売却したい場合は分筆をおこなう必要があります。
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不動産売却における分筆のメリットとデメリット
土地を分筆すると一部分だけ売却できるようになりますが、手続きには手間と費用がかかります。
土地の分筆にかかる費用は決して安くはないので、デメリットも理解したうえで判断することが大切です。
ここからは、土地を分筆するメリットとデメリットについて解説します。
メリット①土地の使い勝手が良くなる
複数人で土地を相続したものの、それぞれが希望する活用方法が異なることもあるでしょう。
たとえば、兄と弟で広い土地を相続し、兄は家を建てたい、弟は土地を売却したいと考えているとします。
土地が1つのままでは自分勝手に売却ができず、また兄が家を建てる際には土地全体に抵当権が設定されてしまいます。
抵当権とは、契約者がローンを返済できなくなった時に債権者が不動産を売却し、融資したお金を回収する権利です。
つまり、兄がローンを返済できなくなった場合に、土地すべてが強制的に売却されるリスクがあるということです。
分筆をおこなうと、抵当権は兄が所有する土地部分にのみ設定でき、弟も自分の土地だけを売却できるようになります。
メリット②異なる地目を登記できる
分筆をすると、それぞれの土地に異なる地目を設定できるというメリットもあります。
地目とは土地の用途のことで、宅地、山林、原野、田など23種類に区分されます。
地目は1つの土地のなかで複数登記することができません。
たとえば、農家を営む方が、畑である土地の半分にマイホームを建設するとしましょう。
家が建つ土地は「宅地」に該当しますが、地目が畑となっている土地のなかに宅地は加えられません。
しかし、分筆をすれば、それぞれの土地に異なる地目の登記ができるようになります。
メリット③税金が安くなる可能性がある
土地の形状によっては、分筆をすることで税金が安くなることがあります。
たとえば、分筆後に大通りに面している土地とそうでない土地が生まれた場合、評価額は前者のほうが高くなります。
大通りに面していない土地が生まれて評価額が下がることで、分筆前よりも税金が安くなるかもしれません。
分筆によるデメリット
土地を分筆するデメリットは、手続きに手間や費用がかかること、土地の使い勝手が悪くなる可能性があることです。
分筆をする際には資料の取得や法務局での手続きが必要で、境界が確定していない場合は境界確定測量もおこなわなければなりません。
また、分筆をすると1筆あたりの土地の面積が小さくなるので、立地や前面道路との関係によっては土地の使い勝手が悪くなることもあります。
使い勝手が悪くなると土地の価値が下がり、売却時に値下げが必要になるかもしれません。
さらに、分筆時には接道義務にも注意しなければならないため、売却を機に分筆をする場合は早めに不動産会社にご相談ください。
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不動産売却における土地の分筆方法は?進め方について
不動産売却における分筆は専門知識を有するため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
土地を分筆する場合、おもに以下の流れに沿って手続きを進めていくことになります。
●①不動産会社へ相談
●②事前調査の実施
●③境界確定測量の実施
●④分筆案を作成
●⑤境界標を設置
●⑥土地分筆登記の実行
各工程について、順番に解説します。
①不動産会社へ相談
土地の分筆に関する業務は、原則として土地家屋調査士がおこないます。
どの事務所に依頼して良いのか迷う場合は、ぜひ不動産会社にご相談ください。
不動産会社は土地家屋調査士と繋がっていることが多いため、信頼できる事務所を紹介することが可能です。
②事前調査の実施
事前調査では、分筆する土地の登記簿謄本や地積測量図、公図などを収集し、その土地の状況を調べます。
これらの業務は、基本的に土地家屋調査士がおこなうため、売主はその時の指示に従って行動しましょう。
③境界確定測量の実施
土地家屋調査士が現地を訪問し、筆界や境界を確認します。
境界が確定できていない場合は、境界を確定するための境界確定測量をおこなわなければなりません。
境界確定測量とは、土地の境界をはっきりさせるための測量で、数十万円の費用がかかります。
④分筆案を作成
境界確定測量が終わったら、土地家屋調査士とともに分筆案を作成します。
分筆案とは、土地家屋調査士が登記簿上の境界や現地の状態を調査した上で、分筆の計画をまとめたものです。
⑤境界標を設置
隣地所有者全員に立ち会いをお願いし、境界標(境界杭)の設置をおこないます。
前面道路が市道や県道に該当する場合は、市役所の担当者にも立ち会ってもらわなければなりません。
境界標を設置することに同意を得られたら、トラブルを防止するため、関係者全員が境界確定書類に署名押印をおこないます。
⑥土地分筆登記の実行
最後に土地分筆登記をおこないますが、土地家屋調査士が手続きを代行してくれるため、売主が法務局に出向く必要はありません。
手続きが完了するのは、分筆登記の申請をしてから1週間程度が目安です。
申請が受理されると「登記識別情報通知書」と「登記完了証」が届くので、紛失しないようご注意ください。
各書類が届いたら分筆の手続きは完了となり、その後は通常の不動産売却を同じ流れで進めていくことになります。
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まとめ
広すぎて活用がしにくい土地は、分筆をして利用しやすい面積にしてから売却するのがおすすめです。
分筆をおこなえば、土地の一部分だけを売却することができ、所有者が複数人いても有効活用がしやすくなります。
ただし、分筆にもデメリットがあるため、分筆に進むかどうかは慎重に判断することが大切です。
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