住宅ローンにおける親子リレーの仕組みについて!メリットや注意点もご紹介

住宅ローンにおける親子リレーの仕組みについて!メリットや注意点もご紹介

マイホームの購入では、多くの方が住宅ローンを契約します。
しかし、住宅ローンの種類は多く、どのプランを申し込んだら良いか迷う方も一定数いるはずです。
そこで今回は、住宅ローンの種類で知っておきたい「親子リレーローン」とは何か、仕組みやメリット・注意点をご紹介しますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。

住宅ローンにおける「親子リレーローン」の仕組み

住宅ローンにおける「親子リレーローン」の仕組み

親子リレーローンとは、二世代にわたってリレー方式で返済をおこなう住宅ローン制度です。
主に親子で1つの住宅ローンを契約し、親が子へと返済を引き継ぎます。
金融機関によっては「親子リレー返済」や「親子リレー住宅ローン」と呼ばれるケースもあるので覚えておくと良いでしょう。
親子リレーローンの主な仕組みは、以下のとおりです。

親子リレーローンを契約するときの流れ

一般的に、親子リレーローンは、中高年の親と成人した子がペアで融資を受けます。
初めは親が返済をおこないますが、高齢になり定年退職した時点で、子が返済を引き継ぐのが原則です。
なお、親子リレーローンは、新築購入時だけでなく、リフォームや住み替えにも利用することができます。
そのため、契約者が高齢の場合などに活用できます。

親子リレーローンを契約するときの条件

親子リレーローンを契約するには、年齢の条件をクリアしなければなりません。
住宅ローンは一般的に「80歳までの完済」を条件に設定しています。
そのため、高齢者は長期の住宅ローンを契約できないケースがほとんどです。
しかし、親子リレーローンでは子の年齢が考慮されます。
高齢の親でも、子が完済時に80歳未満であれば、比較的スムーズに融資を受けやすくなるでしょう。
また、親と子が同居していることも要件です。
金融機関によっては同居を条件としない場合もありますが、基本的に同居していなければ融資は受けられません。
その他、親子ともに安定した収入を得ている必要があります。
どちらかが退職や転職をしたばかりの場合、収入が安定しないと判断され、審査に通らない可能性が高くなります。
スムーズに手続きを進めるためには、親子ともに収入を安定させておくことが重要です。

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住宅ローンにおける親子リレーローンのメリット

住宅ローンにおける親子リレーローンのメリット

親子リレーローンは、一般的な住宅ローンとは仕組みが異なるため、メリットも異なります。
主なメリットは、以下の3つです。
それぞれ特徴を把握しておき、マイホーム購入の選択肢として持っておくと良いでしょう。

メリット①余裕のある返済期間を設定できる

親子リレーローンは、二世代にわたって返済をおこなう仕組みであり、返済期間を長く設定することができます。
そのため、毎月の返済額を抑えやすい点がメリットです。
たとえば、親が65歳の場合、一般的な住宅ローンの返済期間は最長15年に設定されます。
しかし、親子リレーローンでは子の年齢をもとに返済期間を決めるため、最長35年の住宅ローンを契約することが可能です。
このように、親が単独では長期間の契約が難しい場合に、親子リレーローンは有効な選択肢となります。

メリット②借入可能額を増やせる

親子リレーローンでは、親子の収入を合算します。
そのため、どちらか一方で住宅ローンを契約するよりも、借入可能額が大きくなる可能性があります。
借入可能額が増えれば、希望する住宅を購入できる可能性が高まり、選択肢も広がるでしょう。
希望する金額を借りたい場合や、単独では収入が不足する場合は、親子リレーローンを検討するのも有効な手段と言えます。

メリット③親子ともに住宅ローン控除を利用できる

親子リレーローンでは、親子それぞれが住宅ローン控除を利用できます。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した際に受けられる税制優遇制度です。
一定の要件を満たして住宅を購入またはリフォームすれば、所得税や住民税が控除されます。
控除額は借入状況によって異なりますが、一般住宅の場合、年間最大40万円の控除が最長13年間適用されます。
また、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合は、最大50万円の控除が受けられ、大幅な節税効果を期待することができるでしょう。
親子リレーローンを利用してこのような住宅を購入した場合、親子それぞれが控除を適用できるため、合計で最大100万円の控除を受けられる可能性があります。
住宅ローン控除を適用するには、借入期間10年以上や床面積50㎡以上などの条件があるため、事前に確認しておくことが重要です。

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住宅ローンにおける親子リレーローンの注意点

住宅ローンにおける親子リレーローンの注意点

親子リレーローンは物件選びの幅が広がる仕組みとなっていますが、いくつか注意点を押さえておかないと失敗しがちです。
状況によっては家計を圧迫させるおそれもあるので、契約前にデメリットや注意点を確認しておきましょう。
親子リレーローンの主な注意点は、以下のとおりです。

注意点①別の住宅ローンに申し込めない可能性がある

親子リレーローンでは、返済を引き継ぐ子が連帯債務者に指定されます。
そのため、親が返済している期間であっても、子は同じ返済義務を負います。
この場合、子は新たに住宅ローンを契約できない可能性があるでしょう。
たとえば、転勤などで別の地域に引っ越しを検討し、住宅ローンを申し込もうとしても、契約が難しくなるケースがほとんどです。
将来的にマイホームを購入する際に住宅ローンが利用できず、子の選択肢が制限されるリスクが生じます。
このような失敗を避けるためには、親子リレーローンを契約する前に、さまざまなリスクを想定しておくことが重要です。
契約時には、将来のライフステージの変化に対応できる計画を立てる必要があります。

注意点②みなし贈与のリスクがある

次に注意すべき点は、みなし贈与です。
親子リレーローンを契約しているにもかかわらず、不動産の名義を子のみとした場合、「みなし贈与」と判断される可能性があります。
贈与とみなされた場合、贈与税の課税対象となり、期限内に所定の税金を納めなければなりません。
親子リレーローンを利用する不動産の名義を子のみにしたい場合は、事前に管轄の税務署や税理士に相談することが重要です。

注意点③親の死亡後に子が残債を引き継ぐ可能性がある

住宅ローンの債務者が亡くなった場合、団体信用生命保険に加入しているかどうかで対応が異なります。
加入している場合、保険金によって債務が弁済されるのが一般的です。
そのため、子が残債を引き継ぐ心配はありません。
しかし、団体信用生命保険に加入していない場合、子が残債をそのまま引き継ぐことになります。
親の死亡後に支払いが困難となるケースもあるため、住宅ローン契約時に団体信用生命保険への加入を慎重に検討する必要があります。
また、健康上の理由で親が団体信用生命保険に加入できない可能性もあるでしょう。
そのような場合は、審査の緩い「ワイド団信」への加入を検討するか、配偶者を主たる債務者に指定するなどの対策が必要です。

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まとめ

親子リレーローンとは、親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代にわたってリレー方式で返済をおこなう仕組みとなっています。
マイホームの購入時に親子リレー方式を利用すると、余裕を持った返済期間を設定できるほか、借入可能額が増額しやすくなるでしょう。
ただし、別の住宅ローンを組めない可能性やみなし贈与のリスクは生じるので注意しなければなりません。